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九十九屋さんたの妖怪古今録

冥界の官吏

地獄のお手伝いをする人間

小野篁像(『集古十種』より)
小野篁像(『集古十種』より)
 前回は地獄のお手伝いをする人間がいるという話をしました。その一人が小野篁です。
  冥界にいる篁をどうしてこの世の人は知っているのでしょうか。それにはこういう話があります。

 右大臣であった藤原良相は病を抱え、死んでしまい、閻魔の庁に送られました。そこで閻魔第三の冥官はまだ良相は死ぬ存在でないと語りました。その顔を見ると篁であったというのです。助言の結果生き返った良相が、篁に尋ねると、口止めされました。しかし、いつの間にか人の知るところになったのです。

泣く涙 雨と降らなむ わたり川 水まさりなば かへりくるがに(古今和歌集)
 篁は歌人として知られていますが、遣唐使に任じられながら揉め事の為に船に乗らずに流刑になり、天皇に対して不敬を働いたと疑われた事もあります。役人としては、弾正台(非違の糾弾・弾劾をする部署。今で言う検察)の次官や、勘解由使(役職の前任者と後任者との間で利益を巡る争いを裁く部署。)の長官を勤めました。その際の公明さが、篁を冥界にといざない、閻魔第三の冥官として補佐を勤めさせる事になったのでしょう。
 ちなみに篁の正体は、衆生済度のために人間世界にきていた神であるという話も伝わっています。

 地獄に行くにはどうしていたかというと六道珍皇寺の井戸から下り、薬師寺境内の井戸から上ってきたといいます。現在でも六道珍皇寺には篁堂といわれる建物があり、閻魔さまと篁の像を見ることができます。平安時代、六道珍皇寺は鳥辺山の入口に位置することから、あの世に通じる処であるとされたからでしょう。
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