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九十九屋さんたの妖怪古今録

姑獲鳥と産女

妖怪か、それとも安産の神様か…

姑獲鳥(こかくちょう)は、夜に飛びまわるとされ、鳥の姿をしていますが、羽毛を脱ぐと女の姿になるといわれました。夜行遊女とも、天帝少女とも呼ばれたといいます。白鳥の湖のオデット姫を思い出す美しい幻想ですね。

しかし、正体は死んだ産婦の霊とされました。そのため、人間の子を攫い、育てます。その時の目印が、子供の衣服につける血とされました。この辺りから鬼車鳥との混同がされていったのかもしれません。

姑獲鳥という文字は、京極夏彦さんの小説『姑獲鳥の夏』で、有名になったと思います。この物語では姑獲鳥と書いてうぶめと読んでいます。

うぶめは産女と書きます。
子供を持ったまま亡くなった霊がうぶめになるといいました。雨の降る夜に燐火を伴った鳥か、足元が血でぬれた女の姿をとります。また、人に会ったら子供を預けます。子供はだんだんと重くなりますが、持って耐え切ると、石塔や木の葉、岩へと姿を変えます。

そんなうぶめが安産の神様になる場合もあります。
室町時代、鎌倉の大巧寺の日棟上人が滑川の橋を渡ると子供を抱いた女がいました。女は告げます。
「川の水が血で汚れて渡れません。それにややが乳を吸い苦しいのです」
上人が経をあげると女は姿を消しました。数日後、見違えるように美しくなった女が現れ、塔を建ててお産に苦しむ人を救ってほしいと言ってお金を手渡しました。上人は女を産女霊神(おんめさま、おんめ様)として寺に祭りました。

子供を人に渡したり、経を上げてもらうのも、一人で抱えきれない命の重さを、数人で分かちあえば支えられるという象徴なのかもしれません。
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